東京高等裁判所 平成2年(行コ)96号 判決 1991年2月28日
東京都千代田区九段北一丁目九番
控訴人
オールシステム株式会社
右代表者代表取締役
吉田武明
右控訴代理人弁護士
石黒康
東京都千代田区九段南一丁目一番一五号
被控訴人
麹町税務署長 豊森照信
右指定代理人
梅津和宏
同
仲田光雄
同
遠藤家弘
同
梅津恭男
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和六三年六月三〇日付けでした控訴人の昭和六二年一月一日から同年一二年三一日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認を取り消す旨の処分を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。
二 当事者の主張は、原判決の事実及び理由欄第二事案の概要(原判決一丁裏末行目から三丁表八行目まで。)と同一であるから、これを引用する。
三 証拠
証拠については、当審及び原審記録中の証拠目録に記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も、当審における資料を含め本件全資料を検討した結果、原審の判断は相当であると思料する。その理由は、次のとおり補正するほか、原判決の事実及び理由欄第三争点に対する判決(原判決三丁表九行目から六丁裏七行目まで。)と同一であるから、これを引用する。
1 原判決五丁表六・七行目の「経理関係帳簿を押収されてしまったため、」を「確定申告書作成に必要な控訴人の銀行預金通帳、小切手帳、振替伝票綴りのすべてを押収され、未だにそのすべての還付を受けていないため、」と改める。
2 同五丁裏二行目の「第四号証、」の次に「第八号証、」を、同七行目の「同事件に関して」の次に「宿泊先ホテル室内の搜索を受け、」をそれぞれ加え、同九・一〇目の「右預金通帳が差し押さえられたに止まること、」を「控訴人の取引や経理に関係する銀行預金通帳、手形、小切手帳、領収書等の書類多数が押収されたこと、」と、同六丁表二行目の「差し押さえられた」から同四行目の「還付されていること」までを「押収された預金通帳のうち控訴人の主な取引銀行である三菱銀行丸の内支店の預金通帳を含む控訴人名義の預金通帳は、すべて同年六月一日付けで控訴人に還付され、その他の押収物も、協和銀行総合口座通帳一通(山口春夫名義)が平成元年一〇月一二日に還付されたほかは、昭和六二年七月一七日までにはすべて還付されたこと」とそれぞれ改める。
3 同六丁表七行目の「到底できず」の次に「(なお、右協和銀行総合口座通帳が控訴人の右各確定申告書作成に不可欠なものであることを認めるに足りる証拠はない。また、原審における控訴人代表者尋問の結果中の、他にも還付を受けていない書類があるとの部分は、右乙第一号証、第八号証に照らし採用しがたい。)」を加える。
4 同六丁裏一行目の「憲法上」を「憲法三一条、一三条等により」と、同三行目の「主張するかのようである。」を「主張する。」と、同七行目の「違法となるものではない。」を「違法となるものではなく、本件処分に裁量権の濫用があることにはならない。」とそれぞれ改める。
二 以上によれば、控訴人の本訴請求は理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であるから、本件控訴を棄却し、控訴費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大石忠生 裁判官 渡邉温 裁判官 犬飼眞二)